盆灯籠。
夏の風物詩。
国道2号線沿いのほぼ全てのコンビニは色鮮やかな盆灯籠でガラス張りの壁面を彩る。
『もうそんな時期か。』コンビニにタバコを買いに出かけて入口近くでそっと呟く。
完全に口に出したらしくカーディガンを羽織った方に二度見される。
すまぬ。そんな視線は嫌いじゃない。
小学生の低学年時代。夏休みは修行ばかりしていた。
母親は車の免許が当時は無くて、父親も忙しく何処にも連れて行って貰えなかったから。
それでもお盆はさすがに休みで、家族揃って母親の親戚の家に泊まりに行くのは私にとって一大イベントだった。
同じ県内の東側から車で北に向かうだけ。片道1時間の移動なだけでも行動範囲が裏山と家の往復を繰り返していた低学年には十分だった。
道中のコンビニの前身の〇〇商店に立ち寄り、当り前のように売ってる盆灯篭を車に積み込む。
車の真ん中を分断する盆灯篭を挟んで後部座席で兄とじゃれ合うのは至難の業だ。
盆灯篭の傘の紙を破らないようにどら焼きのあんこ部分の擦り付け合戦は『バリッ』の音と共に父親の雷で幕を閉じる。
目的地はすぐそこだ。
県内の東北側、三次・庄原地区は30年以上前は疑うことなく田舎でオオサンショウウオが普通に田んぼ横の川に居た。と記憶している。
すぐ裏手にある山の、夕方、風が吹いて木が揺れている風景はとなりのトトロを見る度に思い出す。
木のさえずりを聞きながら寝るおばちゃん家の夜は少し怖かった。少しだけ。
不思議な感覚の夜が明けて。
さぁ、まだ盆灯籠を載せてる車でお墓参りに出発だ。
お墓に着いて近くの溜め池で水を確保してお墓をキレイにして花をお供えする。
タバコを吸わない父親に代わりライターで線香に火をつける。最高潮に興奮ものだ。
そして傘の破れた盆灯籠の出番。
『破ってごめんなさい』と念じながら自分の背丈よりも高い盆灯籠を地面に突き刺す。
『破ってごめんなさい』を念じた回数はきっと煩悩の数より多い。
これが盆灯籠と私の思い出。
今でもコンビニで見ると思い出すお墓参りの思い出。
盆灯篭はお盆を目で感じさせてくれる夏の風物詩。
コンビニにあれだけ沢山売ってるけどネットならもっと安いのかな?とゲス心丸出しで探すも見つからぬ。
広島だけ・・・か・・・
通りで県外に居た時に見かけなかった訳だ。
先祖を敬う気持ちは全国共通。
皆様、お墓参りで色鮮やかな広島の盆灯籠いかがですか?
お墓参り代行しますよ?
交通費さえ頂ければ広島の盆灯籠と私を添えて。
それでは
ん~!良い人生を!