妻が卵巣ガン(ステージ3c)になりました。
喜怒哀楽というか、感情の幅が、一喜一憂する振り幅が、倍以上になりました。
仕事が忙しいと言い訳して、家の事「ほぼほぼ全て」を妻に任せていた夫が、妻と共に闘病生活に突入し、
・ここまでしたこと
・ここから必要であろう事を
自身の備忘録的に、これからも少なからず卵巣がんに罹る方と、そのご家族のために。
散らかすように書き残します。
もちろん、ならないようにするのが一番ですが、サイレントキラーとも呼ばれる卵巣がんは気を付けるだけではダメなのが現実。
進行があまりに早く、気が付いた時にはすでに…
あなたの愛する家族がいつまでも健康でありますように。
願いを込めて。
目次
お金のことを話し合う(家計の管理)
・貯金がいくらあって
・月々の支払いはいくらで
自分の毎月の収入はある程度把握してても、年間を通して支出の全てを理解している旦那さんは少ないのではいでしょうか?(すいません、僕です)
支払い、と一口に言っても家族が生活していく上で、口座や支払先が一つだけな訳もなく。全てが自宅から済ませられる電子化に対応しているわけでもなく。
毎月・毎年の「しなければならない」入出金は、妻から受け継いで、確実にこなさなければなりません。
子供の給食費が引き落とせてない等、生活に支障をきたしていたら、妻にいらない心配をかけてしまうのです。
がんの闘病生活中、特に抗がん剤治療中は入院したり、人込みに出かけない方が良い等の「行動に制限がかかる」ものです。パートナーである夫がしっかりとしないといけないのです。
妻の行動に制限がかかるからではなく、妻の心身を全力で救うために、病と闘うことに集中できるように、夫がするべき事の1つであると力説します。
子供のケア(遺伝性乳がん卵巣がん症候群の検査)
遺伝性乳癌・卵巣癌症候群。
HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome)
ものすごく大雑把に言えば、
・血の繋がりが濃い家族ほど遺伝情報が多く共有されており、
・血の繋がりが濃い家族の誰かが「乳がん」か「卵巣がん」に罹っていれば、
癌になりやすい遺伝子を持っているかもしれない。
親がHBOC、すなわち遺伝性乳癌卵巣癌症候群と診断されれば、その子供は保険適用で検査が受けれるのです。
HBOC診断目的のBRCA検査保険適用基準
◼ 45歳以下の乳がん
◼ 60歳以下のトリプルネガティブ乳がん
◼ 2個以上の原発性乳がん
◼ 第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がんを発症した人がいる。
◼ 男性乳がん
◼ 卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断されたことがある。
◼ 近親者にHBOCと診断された人がいる。
話す時期や、検査を受ける年齢。
様々な要因を考慮する必要があると思いますが。
リスクはしっかりと伝えて、たとえ多額の費用がかかっても、検査は受けておくべきだと僕は思います。
親が癌に打ち克ったとしても、子供も同じく打ち克てる保障など、一切ないです。
事前に出来る事を「できる限り」段取りしておくのが、親の務めだとつくづく思うのです。
卵巣がん
リスク低減卵管卵巣摘出術>
◼ 35〜40歳で最後の出産が終了し次第施行することが推奨される。
◼ BRCA2は40〜45歳まで延期可能。
<卵巣がんの検診>
◼ リスク低減卵管卵巣摘出術を選択しなかった場合、
ベネフィットは不明だが血清CA-125検査と経膣超音波検査の
併用を医師の判断で30〜35歳から考慮してもよい。
乳がん
◼ 18歳から自己触診を開始する。
◼ 25歳から6〜12ヶ月に1回、医療機関での乳房の視触診を開始。
◼ 25〜29歳:年1回の造影MRIを行う。
◼ 30〜75歳:年1回の造影MRIとトモシンセシスの併用を考慮した
マンモグラフィを行う。
◼ 75歳以上:個別に管理を考慮する。
◼ 乳癌治療後の残存乳腺組織:
年1回の造影MRIとマンモグラフィを継続する。
◼ リスク低減乳房切除の選択肢がある。
男性乳がん・前立腺がん
<乳がん>
◼ 乳房自己触診を35歳から開始する。
◼ 医療機関で12ヶ月毎の問診と乳房の視触診を35歳から開始する。
<前立腺がん>
◼ 45歳から
• BRCA2病的バリアント保持者に対して前立腺癌スクリーニングを
推奨する。
• BRCA1病的バリアント保持者に対して前立腺癌スクリーニングを
考慮する。
画像・文章引用元:聖マリアンナ医科大学
「もっと知って欲しい!遺伝性乳がん卵巣がん症候群」より。
https://www.marianna-u.ac.jp/breast/03_breast_cancer_i/pdf/smm_13.pdf
※PDFが開きます※
どうか、自分のせいで子供が癌になったらどうしようという「不安の種」が1つでも減りますように。
どうか、癌の検査がもっともっと身近なものになりますように。
どうか、救える健康は漏れなく救えますように。
がん保険は入っておいた方が精神的に楽でした
これは後付けになりますが。
本当に入ってて良かったと、心の底から思いました。
金銭的な面もそうですが、妻のメンタル面での救いが大きかったです。
ガンを治療するのにかかる費用は基本的に高額なため、高額療養費制度で出費は一定額で収まります。
収まりますが、思い通りに働けなくなってしまう状況下での出費の嵐は妻にとって、申し訳ない気持ちでいっぱいだったそうです。そんな事は一切気にしなくて良いとお伝えしても、診断給付金が支払われるまでは気が気じゃなかったと。
また、長期間の間に入院を何度繰り返しても入院した日数分だけ給付金を受け取れる保険も多く、がん保険に「入らない」という選択肢がないのでは?とさえ思ってしまいます。
癌になってから治療にかかる費用の他に、働かなくても貯金を切り崩さなくて済む期間の確保と、闘病する際の精神的な安定のためにも、受取額の総額や月々の支払額等々を含めて、常日頃からご家族としっかりとお話しをしておいて欲しい。
本当に、元気だった妻が卵巣がんになる日は、突然きますよ…
無駄遣いせずに、体に良い料理を覚えよう
世の中の90%くらいのお父さんは買い物が下手だと思います。
料理得意だぜ!って言いながら無駄な食材を多めに買ってきて、奥様に怒られるのが日本のお父さんのデフォルトだと思っております。
僕自身がスーパーに通うようになって、買い物に一人で来ているお父さんは希少種ではないのか?と錯覚するくらい、スーパー等で単独のお父さんを見かける事は少ないかもしれません。
ここで力説したいのが、スーパーやドラッグストアによって「出す」ポイントカードやクレジットカードは違うので覚えてください。必死で覚えてください。
正直、普段料理をしない人は「適量」が分からないと思います。分からないからこそ無駄な食材を買わない。レシピ本に書いてある通りの分量を家族人数に照らし合わせて購入してください。
後は慣れるまでやるか、奥様の体調が良い時に徹底的に仕込まれてください。
料理を覚えようと言いましたが、フルに働きながら妻の体調管理をして、子供たちの世話も出来るスーパーお父さんは、ほぼ存在しないと思います。
そんな事が出来てしまう世の中の全てのお母さんに、尊敬の念を抱いてください。共働きで子育てをしている奥様に圧倒的な感謝をしてください。
話がだいぶズレてしまいましたが、癌患者の食事というのは「抗がん剤治療中」「手術前」「手術後」「維持療法中」等々、体調や時期によってガラッと変わるものです。
再発「しない」事を祈りながら、日々を過ごさないといけない時もあるのです。
あなたの奥様が、元気に生きる事「だけに」向き合えるように。
あなたの奥様が、ほんの少しでも楽ができるように。
夫であるあなたが、無駄遣いせずに、簡単でも良いから、体に良い料理が作れるように、頑張って欲しい。(自戒を込めて)
家事とか、人に頼れるものは、頼ろう
我が家の場合を例に挙げます。
僕:サービス業で朝からもあれば、夜勤もある下っ端管理職で月の休みは4~6回。
妻:発病当時は専業主婦。(事業立ち上げ計画中にガンに罹患)
長女:専門学生
長男:受験をしないと決めた、絶賛反抗期の中学3年生
ごく一般的な家庭ですが、妻が倒れた途端に家事全般が回らなりました。
どれだけ妻に任せっきりにしていたのか、反省しかしてません。
してませんが、無理なものは無理だったというのが本音です。
我が家は妻のお姉さんとお母さんに「ここぞ」(日にちの決まった入院の送迎等)という時は頼りましたが、日常生活の大部分や突発的なお願いは難しいと感じたのも、また事実。
雨が降ってきたから洗濯物を家に来て取り込んで欲しいとか、子供が熱を出したから看病しに来てなんて、いかに身内でもそれぞれの生活があるが故に甘えれない事の方が多かったと思います。
そうこうしているうちにと言いますか、問題ってやつは「どんどん」湧き出てくると言いますか、悪いことは重なると言いますか、キャパってすぐ超えるんですよね…(遠い目)
・屋根の瓦がずれてるとか
・エアコンが臭いとか
・庭の手入れが完全にストップしているとか
今じゃなくて良くない!?って事でも、文字通り、降りかかってきます。くるんです。
そこで。
とか下手な謳い文句とか、ステマに思われるかもしれませんが「家事代行サービス」や「生活支援サービス」は積極的に活用すべきだと思いますし、心の底から思いました。
そもそも「疲労」と「心労」の連続で、心の底から休める人の方が少ないと思います。
お金で解決というか、楽に片付くのなら、積極的に利用しない手はないな、と。
家族が万全の態勢に「戻る」までにかかる費用は惜しむべきではないな、とも。
だからこそ、前述しているがん保険の「診断給付金」は、心の底からありがたかったとここでまた力説しておきます。
乱雑する情報に惑わされない
妻が卵巣がんと告知された時。
数日間はまともに眠れずに、インターネットでありとあらゆる情報を調べました。
自慢ではないですが、全盛期には月間50万PVを記録し、月間30万PVを1年以上に渡りキープしてた元ブロガーの僕はネットで情報を調べる事には自信があり「真偽」と言いますか、人が「何の目的」のためにネットで情報を公開しているかの精査は得意です。
そんな僕が素人ながら、日本国内で「最新かつ確立」されている癌治療こそが、日本で生活している人にとって最適であると思うのです。
海外で開発された新しい薬や、最新の治療法・研究発表等々がされて、日本でも承認待ちの情報にやきもきするのは、まだ現実的ですが。
末期がんが治った!とか、ほぼ全ての癌に効果的!とか、
・効果が十分に立証されていない
・確固たる根拠がない(エビデンスは無い)
認可されていない治療や薬に大金(保険適用外)を使うべきではないとも、思うのです。
藁にもすがる想いなのは分かります。
僕だって、妻が完全に健康になれる「保証」があるのなら、今持っている財産全てを手放したって構わない。
でも、そんなものはどこのインターネットを探しても見つかりません。
がんサバイバーになる人は、最新かつ適切ながん治療「と」己の生命力で、生き残る。
どうしても、今診て貰っている主治医の治療方針に納得がいかないとか、もっとこう、なんかあるんじゃないの!?って時は、セカンドオピニオンとかありますし。
がんの臨床試験(治験)の情報も常に公開・更新されています。
多くの人々が、必死でガンという病気そのものを克服できるように頑張ってくれています。
素人の僕が言えることはここまでで、進行癌においてこれさえしておけば安心なんて治療法は2023年の現時点で「存在しない」からこそ、甘い言葉に惑わされないで欲しいと願って止まないのです。
遊ぶことに罪悪感を覚えないで欲しい
これには賛否両論があると思います。
思いますが、妻がガンと告知されて3カ月経った頃。慌ただしく過ぎる日々に、ちょっと疲れが溜まったなぁって実感できるほどには疲れてたと思います。
でも、根を詰めすぎて、体を酷使しすぎて、自分も体を壊したら、結局は妻に心配をかけちゃう。
息抜きというか、気分転換というか、今まで楽しく過ごしてた趣味や遊ぶ時間は、全部が全部我慢してなくも良いのかな?って思います。
もちろん、妻の体調が良い時とかの方がお互いの為ですが。
楽しい話題は笑顔が付き物ですし。
『あのね、今日ね。』って新鮮な会話は、未来への生きる力になり得ると思うのです。
無理に我慢してストレスを溜めるより、会話の種を何個か持つ方が家の中が暗くなりすぎないのかなって。
完全な持論ですが。
闘病中の妻を笑顔にしたいのなら、まず夫である自分が笑顔になれるように努めるのも、ガンとの長い闘いでは必要ではないのかとも、強く思うのです。
最後に
長い長い闘いになりそうです。
『後遺症が怖いなぁ…』って言葉で、胸が張り裂けそうになりますし。
『再発しないと良いなぁ…』って言葉で、鼻先は熱くなりますし。
『それでも頑張る!』って言葉に、逆に励まされています。
妻も子供も癌にならないように事前に手を打って欲しいのが、一番の願い。
その願いが叶わず、初心者ガン患者家族になってしまったあなたが右往左往しないように、ほんの少しでも力になれたら幸せです。
それでは。
良い人生を!